二酸化炭素濃度計には種類があります。
もちろんメーカーごとの違いや価格の違いなどがありますが、最も重要なのはCO2センサーの違いです。
現在主流となっている二酸化炭素濃度計の計測原理はNDIR方式のCO2センサーであり、感度も安定性も高いことから幅広い用途で利用されています。
NDIR方式のCO2センサーは、二酸化炭素が赤外線を吸収する特性を利用して、吸収された赤外線の量から二酸化炭素濃度を計測する仕組みです。
ただ同じ計測原理で働くCO2センサーでも、技術的ソリューションによって性能には大きな違いが出てきます。
ここではNDIR方式のCO2センサーにはどのような種類があるのか、またどれを選べば良いかを解説します。
目次
CO2センサー単光源単一波長方式とは
単光源単一波長方式センサーの構造を簡単にまとめると、赤外線光源と測定チャンバー、検出器というシンプルな内容になっています。
チャンバーは、小さく区切られた空間だと理解してください。
外気を取り込み赤外線の光を放出して、どれだけ赤外線の量が減ったかを検出することで数値化することができます。
ただし、この方式にはいくつか課題があり、以前から指摘されてきました。
まず、赤外線光源としている小型白熱電球の光強度が、時間経過で変化してしまうことが挙げられます。
光源が弱くなることでCO2センサーが二酸化炭素濃度が上がったと誤認識してしまうと、信頼性に欠ける精度となってしまいます。
また、チリやほこりがCO2センサーの表面に付くと同様の誤認識が起こるため、長期的に見て特有の不安定性があると言わざるを得ません。
一部の製品では自動バックグラウンド校正という仕組みを採用し、CO2センサーが自分で強制的にリセットをかける機能を搭載している場合もあります。
ただし、この方式では、CO2センサーが記録している最小指示値を新鮮な外気だとみなして再調整を行うため、常に適切とは言えません。
設置場所や環境によっても条件が変わってしまうため、不完全な再調整を繰り返すことで大前提となる基準値がズレるリスクがあります。
出力の変動幅を「ドリフト」と言いますが、単光源単一波長方式センサーは長期にわたるドリフトが大きな課題です。
CO2センサー二光源単一波長方式とは
二光源単一波長方式センサーの構造は、前述した単光源単一波長方式センサーのドリフトを補正するため、補助的な赤外線光源がプラスされています。
この2つ目の光源はあくまで補助であるため、劣化はしないという前提に基づき構成されていますが、残念ながら補助を付けたことにより新たな課題が生まれたのも事実です。
光源が2つあり、それぞれを主と副として作動させるとなると、どうしてもCO2センサー構造が複雑になることは避けられません。
結果として装置全体で見たときの故障の可能性が増加し、不必要なリスクを抱えることになります。
またCO2センサーの表面にチリやほこりが付くことは変わりませんし、補助光源を1つ付けたところで全体を均等にカバーできるかは疑問です。
結果として二光源単一波長方式センサーの構造では、やはり機器として信頼性が低いという評価になっています。
CO2センサー単光源二波長方式とは
単光源二波長方式センサーの構造は、前述した単光源単一波長方式センサーや二光源単一波長方式センサーとは考え方がまったく異なります。
名前を見てわかるように、光源は1つですが、波長のほうが2つに増えているのです。
この技術では、吸収波長だけでなく吸収の影響を受けない波長も計測し、それを参照することで計測を行います。
構造としては、1つの装置の中に検出器が2個設置されており、そこに透過波長域の異なる光学フィルタをそれぞれ配置します。
つまり二酸化炭素を吸収する波長域と、吸収しない波長域での透過量を比較し、それを濃度に変換するという考え方です。
このCO2センサーであれば、同じ条件下で同時に計測した検知量を比較できるため、どのような環境でも正しく安定した測定が可能となります。
長期的に見てもドリフトが発生せず、正しく測定できるうえに構造がシンプルなのが大きなメリットです。
どの方式のCO2センサーを選ぶべきか?
ここまで見てきてわかるように、結論からすれば、現在は単光源二波長方式センサーが最も信頼性の高いCO2センサーだと言えます。
構造がシンプルなためコスト効率も良く、長期にわたり安定的に使用できることが評価できます。
ただ、これも技術革新によって、今後変わってくる可能性はあるでしょう。
たとえば、現在多くのCO2センサーでは、赤外線光源に小型白熱電球が使用されていますが、これは理想的な光源ではありません。
一つひとつの光強度にバラつきがあり、フィラメントからタングステンが蒸発し壁が黒ずむ、フィラメントが薄くなると出力強度が低下していくといった問題があります。
消費電力も比較的多く、製品寿命にも影響を与えいるため、こうした課題を解消する独自の技術を開発しているメーカーも出てきています。
まとめ
二酸化炭素濃度計にはCO2センサーに種類があり、現在のところ長期的に安定した精度を保てる方式は単光源二波長方式センサーです。
重要なのは、正しく二酸化炭素濃度を検出できる精度を長く保てること、設置環境などの条件によってドリフトが出ないこと、メンテナンスや消費電力などコストが抑えられることです。
新型コロナウイルスの感染症対策まん延防止等重点措置(まん防)においても、各種対策ガイドラインにおいても、二酸化炭素濃度計の設置の重要性が挙げられています。
きちんと種類を選び、正しく設置することでしっかり対策していきましょう。
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