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換気と感染症クラスター発生の関連性

新型コロナウイルスの蔓延と換気にはどういった関係があるのか

日本国内でも新型コロナウイルスのワクチン接種がはじまりましたが、現在はまだ医療従事者・60歳以上の高齢者・基礎疾患がある方、高齢者施設で働く方のみに対象が絞られており、一般の方々に順番が回ってくるのは当分先のことです。

だからこそ、それまでの間に感染しないよう各々が対策することが重要です。

今回は新型コロナウイルスの感染・蔓延対策になぜ換気が有効なのか、またどのように換気すれば良いのかについて解説していきます。

なぜ換気が有効なのか

ウイルスに感染する経路は大きく分けて3種類、接触感染・飛沫感染・空気感染があります。

接触感染とはそのウイルスに感染している人に直接的または間接的に触れて感染することです。

間接的な接触感染経路は、たとえば感染者が触ったつり革やドアノブなどが挙げられます。

一方で、飛沫感染は咳やくしゃみまたは会話中に飛んだ唾などを吸い込んで、空気感染は飛沫よりもさらに小さく空気中に浮遊するエアロゾル(飛沫核)を吸い込んでウイルスに感染することです。

これらの内、新型コロナウイルスは飛沫感染と接触感染が主な経路だと考えられています。

屋外では他者と2mの間隔を開けなくてはいけないのも、飛沫が飛べる距離が2mまでだからで、それ以上離れていれば飛沫を浴びるリスクが減るからです。

一般的に換気は空気感染のリスクを減らすためのものであり、飛沫感染と接触感染のみであれば特別行う必要はありません。

しかし、換気が不十分な空間は空気中におけるウイルス濃度が高くなり、空気感染の可能性があるかどうかにかかわらず感染のリスクが生じます。

京都大学の教授であり厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班の一員である西浦博氏も、密閉空間・密集場所・密接場面のいわゆる「三密」状態にある空間に新型コロナウイルスの感染者がいると、他者へ感染させてしまう可能性が三密でない空間にいる場合より18.7倍も上がってしまうことを論文で発表しているのです。

また、エアロゾルのように空気中へ留まることはないものの、換気の悪い閉鎖空間では短時間だけ飛沫が空気中を漂い、それを半ば空気感染のように吸い込んでしまうケースもあります。

実際に、ライブハウスやスポーツジムなどで集団感染が起こったのは、それらの場所が比較的換気がなされておらず、また人と人の距離が近いからだというのが専門家の間で一致している意見です。

これらの理由により、新型コロナウイルスの感染対策には換気が重要だと考えられています。

ちなみに、WHO(世界保健機関)は当初こそ新型コロナウイルスは空気感染しないとしていましたが、現在では空気感染の可能性も無視できないと示唆しています。

新型コロナウイルスの研究はまだ始まったばかりであり、解明されていない謎が多いです。

現状は空気感染はするともしないとも断言できないので、安全をとって換気を行うのが正しい行動だと言えるでしょう。

クラスターが発生した病院の換気状況はどうだったのか

2021年4月8日のNHKの記事によると、クラスター発生した病院の半分は換気対策が不十分であったという調査結果がでています。

北海道大学の林基哉教授の研究グループは去年3月から、ことし2月にかけて新型コロナウイルスのクラスターが発生した全国8つの病院を訪問して、換気がどのように行われていたのかを調べました。

その結果、4つの病院では、換気を担う設備が、

▽老朽化などが原因で性能が低下していたほか、

▽夜間は止まっていたり、

▽節電のため、定期的に停止していたりしていたことが分かりました。

研究グループは「不十分な換気が感染拡大の一因になった可能性が否定できない」としていて、各地の病院でも十分な換気を行えているか、詳しく調べるべきだと指摘しています。

NHK NEWS WEB クラスター発生の病院 半数で“換気不十分” 感染拡大の一因か

寒い時期の換気はどう行うか

換気は新型コロナウイルス対策に有効とはいえど、あらゆる事情でそれができないこともあるでしょう。

たとえば気温が低いとき、換気を行うと屋外の冷えた空気が室内へ入ってしまいます。

現在は冬こそ過ぎましたがまだ寒い日は多くあり、加えて梅雨もじきに訪れます。

換気は重要であるものの、それに注力しすぎたあまりに部屋の温度を下げ、そしてそれが原因で体調を崩してしまっては本末転倒です。

実際に、WHOでは室内温度が低いと死亡率や呼吸器系疾患の罹患率が上がること、特に高齢者や子供に関してその危険性が高まることを2018年に発表しています。

そのため、室内の空気は入れ換えつつも室温を極度に下げないような工夫を凝らすことが重要です。

厚生労働省では室温18℃以上、相対湿度40~60%を目安にして室内環境を維持するのが良いと発表しています。

これは18℃を下回ると健康に影響が及び、また相湿度が40%から60%の間であるとウイルスが活性化しにくいからです。

18℃および40~60%の水準を維持するために、可能であれば暖房器具を併用しながら換気を行いましょう。

その際にサーキュレーターや扇風機を併用すれば、天井付近に溜まっている暖かい空気も足元へと降りてきて効果的です。

また、空気の出入り口にはついたてや本棚などの障壁を設け、室内へ入ってきた冷たい空気が人間へ直接当たらないようにするのもおすすめです。

使用できる部屋が2つ以上ある場合、二段階換気と呼ばれる方法を用いることができます。

二段階換気では外気を取り込む部屋と生活する部屋を分け、前者の部屋では暖房をつけておきます。

その部屋で温められた空気を廊下伝いに生活する部屋へ送れば、冷たい空気に体を冷やすことなく部屋の換気を行うことが可能です。

二酸化炭素濃度計(CO2センサー)を使うのがおすすめ

24時間換気を続けられれば良いですが、すべての空間がそういった設備が揃っているわけではありません。

そういった部屋で換気をどのタイミングで行うか、それを判断する方法として二酸化炭素濃度計が挙げられます。

二酸化炭素濃度計は空気中にどれほど二酸化炭素があるかを計る機械です。

人間は常時呼吸を行っており、空気を入れ換えていないと空間内の空気は呼気によって徐々に二酸化炭素が増えていきます。

つまり、二酸化炭素の割合が高い空間はそれだけ外気との入れ換えがない、換気がなされていないということです。

二酸化炭素濃度計を設置し、1,000ppmを超えたら窓を開けて換気を行うようにしましょう。

換気して二酸化炭素の濃度を下げれば感染リスクが下がり、さらに眠気や頭痛なども防げます。

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