2020年以降日本で感染拡大を続けている新型コロナウイルスは、いまだ収まることなく全国にまん延している状況です。
そして現在、医療従事者や高齢者のコロナワクチン接種が進められていますが、変異株も続々と出てきています。
新型コロナウイルスというとほかのウイルスと比べて重症化しやすい恐ろしい病気です。
重症化すると命の危険もあるため、呼吸状態が悪くなって重症化していないか否かを判断することが非常に重要となります。
そこでその指標として活用されているのがパルスオキシメーターです。
今回はコロナ患者に使用するパルスオキシメーターについて詳しく解説いたします。
目次
パルスオキシメーターとは
パルスオキシメーターは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度SpO2と脈拍数を測定するために使われる医療機器であり、1974年に青柳卓雄博士によって発明されました。
酸素はヘモグロビンと結合して体内で運搬されており、呼吸をすることで酸素が赤血球に取りこまれて酸素を含む血液が全身に送り出されることで、私たちは健康な体を維持させることができるようになっています。
指先に赤い光センサーを付けて組織を透過する光を分析することでヘモグロビンが酸素と結合している割合を割り出します。
ヘモグロビンは酸素と結合していないときに赤色を吸収するという性質があることを活かして測定されるのです。
新型コロナ患者に使用するパルスオキシメーター
パルスオキシメーターは元々睡眠時無呼吸症候群の診断などに使われていますが、このほかにも肺気腫やCOPDなどのような呼吸器疾患のある患者の状態を把握するために使われています。
新型コロナウイルス患者も肺炎などの重度の呼吸器疾患を引き起こすリスクがあるため、コロナ感染者の重症度合いを測るために活用されています。
パルスオキシメーターを使うことで、新型コロナウイルス感染者のSpO2が低下して、肺炎を起こしているリスクがないかどうかを知ることができるのです。
東京や神奈川、千葉など全国でも一部のエリアでは、パルスオキシメーターを自治体で発注し採用することで、自宅療養中の新型コロナウイルス感染者への貸与を行っているケースも増えています。
厚生労働省でも各都道府県へ自宅療養や宿泊療養施設で療養する患者に、必要に応じてパルスオキシメーターを活用した健康観察を行うことを検討するように勧められています。
パルスオキシメーターで評価できる重症度基準
厚生労働省研究班は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きの中で、感染者の重症度分類を示し、医療従事者が重症度を評価する基準を提示されています。
その中で、SpO2が96%以上で呼吸器症状がなく、咳のみの場合は軽度と捉え、息切れと肺炎の所見がある状況で酸素飽和度93%~96%の場合は中等症度Ⅰ呼吸不全なしと評価されるのです。
また、酸素投与が必要かつSpO2が93%以下の場合は中等症Ⅱ呼吸不全ありと評価され、ICUに入室もしくは人工呼吸器が必要な患者は重症と評価されることになっています。
パルスオキシメーターのSpO2が95%を下回った場合や普段のSpO2値の3%~4%下回った場合は念のため医療機関へ相談、もしくは医療機関へかかるようにしましょう。
一般的にも健常者の値は96%~99%であり、十分な酸素が全身の臓器に送れなくなっている呼吸不全の症状がある場合は90%を下回った値を示します。
パルスオキシメーターの測り方
パルスオキシメーターの測り方は、LEDとセンサーに指が挟まるようにしっかりと指を差し込んで測定を行います。
基本的にどの指でも大丈夫ですが、このときに使用する指は人差し指が一般的に用いられています。
家庭用で使われているパルスオキシメーターは指の形に沿ってくぼみが作られているものがほとんどですので、その位置に合わせて指を差し込むのです。
指に装着をしたら指や手はしっかりと安定させて動かさないようにして測定をしましょう。
指を動かすなどすると正しい値を占めることができません。
また、寒い冬の時期などは指が冷たい状態では正しい数値が出ない可能性がありますので、手を温めた状態での測定が望ましいでしょう。
まとめ
パルスオキシメーターは新型コロナ感染者にとっての重症化の指標に大いに活躍するツールです。
都道府県で貸与されているケースが増えていますが、自宅療養でも貸与されない県などもまだあります。
近年ではネット通販などでも気軽に購入できるようになりました。
品質はメーカーやブランドなどによってまちまちですので、医療機器認証を受けているパルスオキシメーター、またできれば保証の付いた日本製を選ばれるとより安心して使うことができます。