換気をすることなく閉め切った室内に長くいると、CO2(二酸化炭素)濃度が徐々に上がっていきます。
CO2濃度が高くなると健康に悪い影響を及ぼす可能性があるために、空気を入れ替える必要が出てきます。
特に大勢の人がいる場合は、意識的に換気を行う必要があるでしょう。
では、CO2濃度の基準値を超えると、具体的にどのような影響があるのでしょうか。
目次
安全なCO2濃度
空気中のCO2濃度は400ppmくらいです。
ppmとは百万分率、つまり100万分のいくらであるかを示す単位で、たとえば1ppmであれば0.0001%ということになります。
したがって、空気中のCO2濃度は、0.04%です。
もちろんこの数値は、人間の健康にとってまったく問題ないわけですが、室内空間において十分に換気がなされており、健康にも問題がないCO2濃度はどのくらいかというと、1,000ppm(0.1%)以下とされており、これは厚生労働省が定めた室内空間におけるCO2濃度の基準となります。
また教育施設に関しては、1,500ppm以下が基準です。(文部科学省/学校環境衛生基準)
一般的な家であれば、人のいない状態の場合は外とそれほど変わらないCO2濃度が保たれていますが、人がいるとすぐにCO2濃度は上昇します。
密閉具合によっても変わってきますが、標準的補な家であれば1人の場合でもすぐに700ppm前後にまで上昇し、2人になると換気やドアの開け閉めをしなければ、基準である1,000ppmを簡単に超えてしまうことも少なくないようです。
ただし、2,000ppm程度までであれば有毒性はないとされています。
基準値を超えるとどうなるのか
では、基準値である1,000ppmを超えるとどんな影響があるのでしょうか。
CO2濃度が1,000ppmを超えると、まず頭痛・眠気・倦怠感・注意力散漫などの症状が現れるようになります。
閉め切った部屋の中で石油ファンヒーターなどを使用していると、だんだんと眠気に襲われたり、集中力がなくなったりするのは、酸素が減って逆に二酸化炭素が増加するからです。
そのまま換気せずにいると、心拍数が上がり、吐き気を催すようになります。
通常は、このような体調の変化で、空気を入れ替えようと思うことでしょう。
東京消防庁提供の資料によると、労働衛生上の許容濃度は5,000ppmとされています。
基準を超えてはいますが、まだ健康に大きな影響を及ぼすほどではありません。
しかし、眠気や集中力の低下など徐々に作業効率がダウンするので、換気は必要です。
ちなみに、18,000ppmを超えた場合は、空気の50%以上を入れ替える必要があります。
日常生活ではあり得ない数値ではありますが、CO2濃度が30,000ppm以上になると、酸素障害を誘発するようになり、呼吸困難や頭痛、吐き気、視覚減退、血圧や脈拍の上昇が起こるのです。
80,000ppmになると、脳は大きなダメージを受け、めまいがして昏睡状態に陥ります。
さらに、90,000ppmを超えると、血圧が失われ、最悪の場合に4時間で死に至ります。
CO2濃度と作業効率
あるCO2濃度とタイピング作業における正解入力文字数や誤入力率の実験データによると、CO2濃度が高くなればなるほど、正解入力文字数が減少し、誤入力が多くなるという明確な結果となりました。
CO2濃度と作業効率は明らかに関係しており、CO2濃度が高くなると作業効率はダウンします。
しかも、コロナ感染対策の有効な手段とされているマスクを着けることで、作業効率はさらに大幅にダウンするという結果も出ているのです。
このことを考えると、仕事や勉強などを間違えることなく効率良く行っていくためには、いかに換気を行い、CO2濃度を下げることが大切であるかがわかることでしょう。
なぜCO2濃度が高くなると健康に良くないのか
人間は酸素がなければ呼吸ができなくなり、生きることができません。
そのため、誰でもCO2濃度が高くなると良くないということは理解できることでしょう。
しかし、具体的になぜCO2濃度が高くなると健康に良くないのでしょうか。
体の中でどのようなことを起こるのでしょうか。
CO2濃度が高くなりすぎると、肺の中でCO2の交換がうまくできなくなってしまいます。
それにより、血中酸素濃度が下がってしまうのです。
血中酸素濃度が下がると、当然のことながら脳細胞や体の組織に酸素が送られなくなり、酸欠状態となってしまいます。
さまざまな代謝活動も阻害されてしまうのです。
このような状態になった時、体は異変が起きていることを知らせます。
その最初のサインが頭痛です。
突然頭が痛くなった時は、CO2濃度が高くなっているかもしれないと疑ってみることをおすすめします。
まとめ
CO2濃度の基準値は1,000ppmです。
この基準を超えてくると、頭痛や眠気などの症状が現れ、集中力も低下します。
さらに、濃度が上がると、酸素障害を起こし、昏睡状態から最悪死に至ることもありますので、注意が必要です。
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