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三密回避に求められるCO2濃度の基準値は?二酸化炭素濃度計で測定

二酸化炭素濃度計を使って換気をする

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、飲食店やイベント会場での三密を回避するための基準として、CO2濃度の計測が求められています。

人が密集すれば、それだけ呼気が発せられ、空気中の二酸化炭素量が増えるためです。

そのため、二酸化炭素濃度計の導入が推進されていますが、CO2濃度はどのくらいの量であれば安心できるのでしょうか。

感染対策として三密回避に求められるCO2濃度の基準値について見ていきましょう。

目次

三密回避のための基準値とは

新型コロナウイルスの感染拡大防止とWithコロナを両立させていくために、飲食店やイベント会場をはじめ、オフィスや学校など人が集まる場所では二酸化炭素濃度がどのくらいかを測定することの重要性が高まっています。

自治体が無料で二酸化炭素濃度計を配布するケースもあるほどです。

もっとも、どの程度なら問題ないのかを知らなければ、意味がありません。

この点、政府が推奨している基準として、室内の二酸化炭素濃度が1,000ppmを越えていないかが基準値となっています。

建築基準法との関係

実はCO2濃度を1,000ppm以下に抑えるという基準値は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために表れた数値とは言い切れません。

というのも、建築基準法で大型ビルの換気対策として、CO2濃度を1,000ppm以下に抑えるよう定められていたからです。

この基準を守るには、1人あたり1時間につき30㎥の換気量が必要です。

つまり、必要とされる換気量は、部屋の広さと、そこに何人の人がいるかによって変化するので注意しなくてはなりません。

同じ部屋の大きさでも、集まる人数によって違いが出るため、飲食店やイベント会場などの人数規制やオフィスに出勤する人数の制限、学校の分散登校などが推奨されるのも、この必要換気量の考え方から来ています。

人数による調節が必要

飲食店やオフィスなどの換気対策を見ていると、15分ごとや30分に1回は窓やドアを開けるようにしているというケースが目立ちます。

時間単位で忘れないよう、定期的に換気を習慣づけることは大切ですが、その前提として、常に同じ人数の人が利用していることを想定しなくてはなりません。

もし、人数が増えた場合には、定時のタイミングではCO2濃度が高くなってしまうおそれがあります。

そのためにも、二酸化炭素濃度計を常にチェックし、部屋の広さや随時入れ替わる人数を問わず、CO2濃度を1,000ppm以下に抑えるように換気を行っていくことが大切です。

当然ながら、CO2濃度は狭い場所に、より多くの人が集まるほど高くなります。

換気を心がけるだけでなく、人数をコントロールすることも重要な対策と言えます。

CO2濃度による体調の変化や換気の必要性

新型コロナウイルスの感染防止策として求められる基準値であり、かつ、建築基準法におけるビル管理の換気基準となる1,000ppm以下であれば、通常、空気はクリーンな状態に保たれています。

これに対して、1,000~1,500ppmはどうでしょうか。

新型コロナウイルスの感染の観点を除いて考えれば、まだ許容範囲の数値であり、時々、室内の一部の窓を開けて換気すれば、体調の変化などはもたらされません。

これに対して、1,500ppm~2,500ppmとなるとCO2濃度が高く、酸素が少なくなり、眠気や倦怠感を抱くおそれが生じます。

この場合には30分に数分ほど窓を全開にして換気を行うか、CO2濃度が下がるまでは部屋の使用を控えることが求められます。

2,500ppm以上となると非常に悪い数値です。

数値が改善するまで部屋の使用を停止し、窓を全開にして換気を行わなくてはなりません。

クラスター発生時のシミュレーション

とある大学の研究で、SARS-CoV-2に89名のうち10名が実際に感染した条件で、その時の空間の状態がどうであったか、CO2濃度のシミュレーションを行った事例があります。

あくまでもシミュレーションであり、実際にどうであったかはわかりませんが、クラスター発生時のCO2濃度は9,000ppmを超え、1人あたりの換気量は4㎥を下回っていたという結果が出されました。

これは政府が推奨するCO2濃度1,000ppmの9倍にもあたり、クラスターどころかめまいなどの体調不良も起こるような危険な数値です。

1,000ppmのCO2濃度を保つには、1人あたり1時間につき30㎥の換気量が必要とされるため、4㎥を下回っていたという状況も、極めて換気が悪い状態と言えます。

これは1つのシミュレーション例ですが、換気が悪ければ、感染するリスクが高まるのは明確と言えるかもしれません。

基準値以下だからと安心しない

自治体などからのアナウンスでも、二酸化炭素濃度計を用いて、1,000ppm以下に保つようにと基準が示されていますが、これを守れば必ずクラスター発生が防げるということではありません。

厚生労働省の見解によると、1人あたりの換気量、すなわち、外気の取り入れ量としての目安とされる毎時30㎥は、換気の悪い密閉空間を改善する必要換気量として一定の合理性を有するとのことです。

そして、この換気量をCO2濃度に換算すると1,000ppmに相当するとしました。

もっとも、CO2濃度を1,000ppmという基準は、もともと定められていた建築基準法のビル管理法における環境衛生管理基準でもあり、その基準が守られていれば、換気の悪い密閉空間ではないという考えも見て取れます。

クラスターが発生した事例をすべて検証して定めたわけでもないため、感染症対策としての明確なエビデンスがあるとは言い切れません。

そのため、新型コロナウイルスの感染対策として、CO2濃度の基準を測るには、1,000ppmを基準としつつも、部屋の広さと利用人数などもしっかり踏まえて換気対策を実施していくことが求められます。

まとめ

新型コロナウイルスの感染対策として求められるCO2濃度の基準値は1,000ppm以下ですが、これは利用する部屋の広さや集まる人数によっても、十分な換気量を保たれているかとは違いが生じます。

二酸化炭素濃度計の数値のチェックとともに、利用する部屋の広さや集まる人数を考慮しつつ、的確に換気を行うことが大切です。

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