新型コロナウイルスの感染を防ぐには三密の回避や換気が重要です。
Withコロナ対策として、飲食店など人が集まる場所では換気ができているかを確認するため、CO2の濃度を測ることが試みられています。
そのための計測機器である二酸化炭素濃度計ですが、価格を調べるとピンキリです。
高い二酸化炭素濃度計は何が違うのか、安い二酸化炭素濃度計との違いを確認し、信頼できる機器を選べるようにしましょう。
目次
二酸化炭素濃度計の必要性
人が密集してかつ換気の悪い密閉空間となれば、人の呼気があふれ、CO2濃度が高い状態になります。
CO2濃度が高い状態では、新型コロナウイルスの飛沫感染リスクが増大するので注意しなくてはなりません。
飲食店やイベント会場などではさまざまな工夫で三密回避や換気を試みていると思いますが、やった気になることやなんとなく大丈夫では危険です。
科学的に安心の状態を確保するために、二酸化炭素濃度計の導入が推進されています。
推奨機器
二酸化炭素濃度計の設置が自治体ごとに推進されることや無料貸し出しなどが行われるにつれ、ネット販売などでさまざまな機器が販売されるようになりました。
もっとも、中には正確に測定できていないものなどもあり、経済産業省が注意喚起をし、産業用ガス検知警報器工業会とともに、「二酸化炭素濃度測定器の選定等に関するガイドライン」を公表するに至りました。
そこでは、二酸化炭素濃度計を選ぶうえで、最低限要求される仕様の基準が定められています。
そのガイドラインによれば、検知原理は光学式であること、補正用の機能が測定器に付帯していることが求められます。
光学式として、以前から評価されてきたNDIR方式とも呼ばれる非分散型赤外線方式に加え、光音響方式も加えられました。
補正用の機能というのは、測定値のズレを自動的に修正することや手動によって修正できる機能のことで、メーカーによっては校正機能と表記されていることもあります。
価格の高い機器と安い機器を比べる際に、二酸化炭素濃度計として最低限要求される仕様を満たしているかも大きなカギを握ります。
NDIR方式
NDIR方式とは、Non Dispersive InfraRed(非分散型赤外)の略式名称です。
ガス濃度を測定する方法にはさまざまな方式がありますが、化学変化やセンサーそのものに変化が生じてしまう方式では、測定対象となる二酸化炭素にも影響が加わり、精度が悪くなるおそれがあります。
これに対して、NDIR方式なら測定対象となる二酸化炭素に変化を及ぼすことなく、濃度を高精度に測定することが可能です。
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光音響方式
光音響方式はPhotoacousticとも呼ばれます。
NDIR方式で二酸化炭素濃度測定を行う場合、精度を上げるには機器のサイズが大きくなるのが特徴です。
使いやすいようにと小型化を試みれば、精度が下がってしまいます。
高精度なNDIR方式の二酸化炭素濃度計ほど機器のサイズが大きく、それに伴い価格も高価でした。
これに対して、光音響方式を用いると、精度は落とすことなく、コンパクト化と価格をより求めやすいレベルに抑えることが可能となります。
安い二酸化炭素濃度計との違い
ガイドラインが発表される前に問題となっていた精度の低い二酸化炭素濃度計は、VOCガスセンサーを用いたものが横行していました。
VOCとは揮発性有機化合物のことで、公害や排気ガス、ハウスダストアレルギーなどの環境対策で問題となる物質です。
VOCガスセンサーはVOCの濃度を測るためのものであり、二酸化炭素濃度の計測には適していません。
また、水素濃度から二酸化炭素濃度を換算する疑似的な機器も問題となっていました。
疑似的な二酸化炭素濃度計では、周辺にエタノールが漂うと反応が生じて、異常な数値を示します。
飲食店などでは感染対策としてアルコール消毒を行うことが多いため、アルコールが反応して、正確な二酸化炭素濃度が測定できないという問題が生じたのです。
値段が安い機種の場合、ガイドラインの基準を満たさない測定方式ではないかをしっかり確認しなくてはなりません。
二酸化炭素分子をダイレクトに計測できる光学式の測定方式の機器かをしっかり確認してください。
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ガイドラインに適合しているか
中国製など安価な輸入品の中には、本当は基準を満たさない方式なのに満たしているかのように謳っているものもあるので注意が必要です。
中国製でも信頼できる機器もありますが、悪質なメーカーや利益しか考えない販売業者がガイドラインに適合していない機器を安価に販売しているリスクがあります。
ネットの案内文や製品のカタログの記載さえごまかされていたら、信頼してしまうおそれも否めません。
価格はやや高くても高精度で信頼のあるメーカーの製品を買うのがおすすめですが、どうしても費用の観点から安価な製品を購入してしまった場合には、以下の手順でガイドラインに適合しているかチェックを行いましょう。
適合チェック
まず、製品の検知センサーに呼気を吹きかけてみてください。
正しく測定できれば、二酸化炭素濃度が測定上限まで急上昇します。
これに対して、二酸化炭素濃度が上昇しない場合は次のチェックを行ってください。
消毒用アルコールを手にとって、検知センサー全体に塗りつけてください。
正しく測定できる機器であれば、数値に変動はありません。
これに対して、数値が大きく上昇する場合、VOCなど二酸化炭素以外の物質を測定するセンサーが搭載されているおそれがあり、二酸化炭素濃度は測定できません。
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まとめ
安い二酸化炭素濃度計は経済産業省が定めるガイドラインの基準を満たしていないおそれがあります。
基準を満たしている機器はNDIR方式または光音響方式で、補正機能を付属させたものです。
呼気を吹きかけることやアルコールをかざして適合チェックをしてみましょう。
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