新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自宅療養者の増加で、入院の要否の目安となる酸素濃度を測るパルスオキシメーターの需要が高まっています。
自治体から無料配布される場合や訪問診療をしてくれる医師が持参してくれるケースもありますが、万が一の感染に備え、購入する一般の方も増えてきました。
もっとも、いざ購入しようと思うと価格もピンキリで迷われるかもしれません。
品質を求めるなら高価格なものが良いのか、それとも単純に価格では比較できないのか、価格の違いの生まれ方や安いパルスオキシメーターとの違いを見ていきましょう。
目次
パルスオキシメーター需要の高まり
新型コロナウイルスの感染拡大により、自宅療養者が増えています。
軽症なら問題ないですが、高齢者や基礎疾患のある方などを中心に酸素飽和度が低下しているのに自覚症状がない方が増えている状況です。
酸素飽和度が95~99%であれば、心配するほどではないですが、93%に低下すると呼吸困難リスクを高めます。
90%を切ると即入院しなくていけないような危険なレベルです。
自覚症状がなくても、早期に呼吸状態が悪化していることを確認するために、パルスオキシメーターが役立ちます。
ネットで検索すると、1,000円から2,000円程度の商品も豊富なので、そのくらいの価格なら買っておこうと思う方もいるかもしれません。
ですが、医療関係者からすれば、コロナショックが起こる前にはそのような価格帯の製品は見たことがなかったという声が聞こえてくるため、性能に問題ないか注意が必要です。
求められる性能とは
医療知識のない一般人の感覚からすると、酸素飽和度が90%台なら十分な感じに思えますが、医師の判断では酸素飽和度は95%を下回ると状態を慎重に観察しなくてはならないレベルに達します。
そのため、酸素飽和度の基準で安心できる98%と96%の誤差ならともかく、危険な域に入る94%と92%ではかなり違いが出ます。
94%で危険域に達し、92%になれば、人によって即入院が必要な状態だからです。
つまり、パルスオキシメーターに求められるのは、わずかな違いも見逃さない高精度な測定精度です。
安いパルスオキシメーターとの違い
高いパルスオキシメーターのほとんどは、医療機器の認証を受けており、厳しい品質試験や実用試験などをクリアしてきた高精度な機器です。
これに対して、安いパルスオキシメーターの場合、精度が低く、2%以上の誤差が生じるおそれがあります。
品質試験なども行っていない可能性が高く、試験をしたとしても条件が厳しくないおそれがあります。
精度は高いか
パルスオキシメーターのカタログには、たいてい精度±2%との表記があります。
パルスオキシメーターの精度を試験によって証明するよう、2014年9月にJISで規定されました。
もっとも、どの機器も同じ条件で試験が行われているわけではないので注意が必要です。
パルスオキシメーター試験機関として業界標準と評価されているアメリカのUCSFの低酸素ラボなど、権威ある第三者機関で精度試験を行っているかどうかも、高いパルスオキシメーターと安いパルスオキシメーターの違いになります。
低脈波時の精度
体調に問題がなく、血流が豊富ならパルスオキシメーターの性能の差はあまり気になりません。
問題は、コロナに感染して症状が悪化することや高齢者や基礎疾患を抱えているなど血流の悪い状態になりがちな方です。
血流が少ないとパルスオキシメーターが得られる信号量が少なくなるのに加えて、誤差の原因になるノイズが大きくなります。
ノイズに邪魔されて正しい信号が得られなくなると誤差が生じ、正しい結果が測定できません。
血流が少なくなる低脈波の状態で、精度良く測定できるかは、メーカーの技術力が有無を言います。
また、機器が測定できない信号となった際、そのまま表示してしまう機器と正確に測定できていないとアラートを出す機器があります。
安いパルスオキシメーターは低脈波の状態で正しく測定できない可能性があるうえ、それを正しくアナウンスしてくれない可能性があるため注意が必要です。
耐落下衝撃強度
パルスオキシメーターは常に正確に測れる状態を保たなくてはなりませんが、故障するおそれもあります。
故障する原因の一番多いパターンが、物理的な落下です。
体調が悪く、うっかり落としてしまうトラブルは大いに予想されます。
そのため、高いパルスオキシメーターは落下しても壊れにくい高価な素材で作られていることが多いです。
たとえば、カバー素材として2mm厚のポリカーボネイトが使用されていれば、耐落下衝撃強度はかなり高くなります。
ポリカーボネイトはヘルメットにも使われる素材で、熱や衝撃に強いプラスチックです。
さらに、ステンレスリングを付属させて、落下による衝撃で分解しないようにしている機器もあります。
医療機器に認定されているようなパルスオキシメーターでは、耐久性の高い素材を使うのに加え、CAE解析に基づいた部品設計を実施し、コンピュータによる強度解析を通じて衝撃に強い外装構造を構築しています。
落下衝撃試験のレベルもメーカーによって異なり、安いパルスオキシメーターほど試験条件が簡単にクリアできてしまうケースが少なくありません。
高いパルスオキシメーターでは、高さ1mのところからの落下回数を100回以上行うなど、非常に厳しい試験をクリアしているのです。
まとめ
パルスオキシメーターは新型コロナウイルスの感染に伴う、酸素飽和度の低下による症状の悪化を見極めるために役立つ機器です。
酸素飽和度はわずかな違いで症状の悪化や入院リスクに違いが出るので、精度の高さが重要です。
安いパルスオキシメーターは精度が低く、低脈波時に測定ができないリスクがあるほか、品質試験のレベルも低く、耐落下衝撃強度も十分でない可能性があるので気を付けましょう。
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